[7]部屋のドアにロックをかけると、ぼくは異常に高まっている興奮を抑えながら、ベッドに腰かけたまり絵のほうに歩み寄った。
肩に手をまわし髪を撫でてやると、まり絵はそっと目を閉じ、薔薇の唇をぼくのほうに近づけてきた。これが初キッス。ごくっと唾を飲み込み、一気に唇を押しつける。ごきっといういやな音がした。
「痛っ」と叫ぶや、まり絵はぼくの頬を平手で打った。右手で鼻を押さえている。鼻血を流していた。
「うーん、もぉ。どうして鼻をぶつけるかなぁ。あなた、ひょっとしてキスははじめてなんじゃないの? こんな朴念仁だとは思ってもみなかったわ。わたし、帰る」
ティッシュを鼻に詰めながら、まり絵はバッグをつかんで立ち上がった。
いや、ここで帰られても困るのだ。
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