[11]私のアリストを古ぼけたスカイラインが追い抜いていった。次男を抱きかかえて助手席にすわっていたまり絵は、持ち前の負けず嫌いから、そのスカイラインに敵愾心を燃やしたものらしい。
「あなた。あんな車に負けないでよ」
私はもちろん笑って取りあわなかった。もういい大人なのだ。いつまでも、そんな子どもじみた真似をしてどうなる。私が逆にスピードを落とすと、まり絵は唇をとがらせてみせた。しかししばらくして、そのスカイラインが衝突事故を起こす現場を目の当たりにすると、さすがに反省する気になったようである。
「まかり間違うと、わたしたちがああなっていたかもしれないのね」
そのことばに私は無言でうなずくしかなかった。
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