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あの日に還りたい

星の力で手にする
運命の出逢いと愛


[10]

 大学はうまく切り抜けて、一流企業にも就職が決まった。そこでも順調に仕事をこなし、まり絵と結婚したのは二十五歳の春だった。次の年に長男が誕生し、その三年後には次男ももうけることができた。

 そして、長男が四つになったときのことだ。私は家族全員を乗せてアリストを運転していた。対向車線を古ぼけたスカイラインが追い抜いていった。そのことが、次男を抱きかかえて助手席にすわっていたまり絵の心を発火させた。

「あなた。あんな車に負けないで」

 私はアクセルを思い切り踏み込み、次のカーブの手前でスカイラインを軽く追い抜いた。カーブをそのままのスピードで駆け抜けようとしたそのとき、対向車がセンターラインを大きく割って、私の車めがけて突進してきた。

 暴風が吹き荒れている音を耳にして意識を取りもどした。暴風ではなくクラクションが壊れて鳴りつづけているのだった。ハンドルに打ちつけた胸の痛みに耐えながら、助手席を見ると、妻は頭をフロントガラスに突っ込んでいた。こめかみのあたりから真新しい血がどくどくと流れつづけている。私の車も相手の車もボンネットがひしゃげ、そのひしゃげた相手方のボンネットの上に、産着にくるまった次男の姿を認めた。その首はありえない方向に曲がっていた。泣き声が先刻から耳の奥で響いていたことにふいに気づいた。後部座席の長男が、泣き声にのせて足が痛いと訴えつづけていたのだ。



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